こんにちは。江端です。今、abemaTVをはじめ、グラップリング界を賑わせている新鋭。岩本健汰選手が、九州初上陸。今回は試合ではなくて、セミナーです。内容は、岩本選手が今最も多用している「ボディロックパス」。これは私がリクエストしました。先日も修斗での試合で岩本選手が、このパスガードを連発して、世羅智茂選手を苦しめた試合に、このパスガードはまだ広まっていないから対策が立てられていない。という気がしました。
なんでも、岩本選手はグラップリング歴まだ2年程度で、すでに国内トップファイターなわけですが、かの青木真也選手も絶賛するのは、去年ADCCアジア・オセアニア予選で優勝して本戦出場したことが、やはり大きなニュースだったのです。
恐るべきテクニックで、並いる強豪を沈め、危なげなく優勝。おそるべき23歳です。柔術歴も5年程度ということで、非常に謎が多い選手なんですが、普段の練習場所は、なんと公園。という、まさに場所を選ばずに練習する感じが最先端。
そんな岩本選手、私面識なかったのですが、このセミナー前にいろいろ知りたくなってインタビューしてみました。
・世羅選手との試合でのパスガードは衝撃的でした。あんな感じでパスガードできるという想定はありましたか?
パスできると思ってました。全部練習でやっていることが出たという感じです。
・ボディロックパスをやろうと一番最初に思ったきっかけ、理由は?
ボディロックパスを知ったのはミヤオが試合で使っていたり、2017年のADCCでゴードンライアンがクレイグジョーンズをパスした時です。その時からたまに使うようにはなっていましたが、ガードでの足関節に集中していて、トップポジションをあまり好んでいませんでした。なので半年前くらいまでは僕はもっぱらガードの選手としての印象が強かったと思います。下から足関節を狙ったりデラヒーバガードからデラヒーバフットロックをねらったりと。ただ、それ一途になってしまうと、膠着してしまうことが多いです。とくに相手のレベルがあがると、下から相手を引き寄せて浮かすことが難しくなるため、足関節だけを狙うのは効率的ではありません。積極的に上になろうとスイープしたり、起き上がって立技で相手を下にしたりする方が効率的です。むしろそっちの方が攻防がうまれ、足関節を含め、サブミッションが取りやすいです。そのためにはトップキープと、パスの自信をつけることが重要です。そもそもパスが苦手だからスイープしようとしないのだと感じます。そういう経緯で、ボディロックをはじめとした、トップキープとパスのプレッシャーを意識的に練習するようになりました。
・世羅選手との試合の動画解説で半年前からやり始めたといっていましたが、なぜボディロックパスを研究しようと思いましたか?
研究を始めたというよりは、必要性から徐々に練習で使う機会が増えていったという感じです。ボディロックの有効性に関しては、山中ケンヤさんや青木さんとの練習を通じて学んでいったことがすごく多いです。なぜなら、二人とも毎回僕をボディロックでつぶしてくるからです。
・ほかに得意なパスガードはありますか?
名前がわかりませんが、脇と頭をクラッチするパス。
・どのように組み合わせてボディロックパスを使いますか?
もちろんすべての状況でボディロックできるわけではありません。できないときは、相手がディフェンシブで攻めてこないで、ガードで距離をとることに専念しているときや、ニーシールドが高すぎるとき。こういう時は別のパスを仕掛けつつ、あいてが攻めてきたり、背中を浮かしたり、ニーシールドが下がったタイミングでクラッチ組みます。
・ボディロックパスを使うメリットは何ですか?
グラップリングでは、相手が汗などで滑りやすくなっていることが多いですが、ボディロックを使えば関係なく相手を引き寄せることが出来ます。また、自分の体重以上のプレッシャーがかけられるため、軽量級が重量級を押さえつけることも可能な強力なパスです。一度相手の胴回りに手を組んでしまえば、あとは相手のフレーム、バタフライフック、ニーシールドごと、つぶすことが可能です。これはすべて体重以上のプレッシャーがかけられるからであり、ボディロック以外にはできません。
・どんな相手にボディロックパスを使いますか?
一番有効なのは、積極的に背中浮かしてフックスイープや足関節を狙ってくる相手。背中が浮くし、距離が詰めやすいのでクラッチが組みやすいです。
・得意のアシカンとの相性はいかがですか?
足関節との相性は抜群です。なぜなら、パスするとき相手が足を僕の体の外に出していたら足抱えてヒールフックに行けます、すると相手は警戒して足を両方とも内側にいれてきます(バタフライフック)。するとあいては距離を取りづらいので、ボディロックが有効です。
・今まではどのようなテクニックが得意でしたか?
一年前とかだと、バタフライガードから内ヒールやストレートフットロック。
・全日本NOGIオープンで山田ソウタロウ選手との試合もすごいなと思いましたが、今の動きはあの時と全然違う印象です。自分で振り返ってみてどのくらい前から実力がついてきたなと実感がありますか?(目の前で見てました。)
あのときは、まだモダン柔術的な動きをしていましたが、いまはそれに加えてグラップリング特有のフック系のガードや、足関節、プレッシャーパスの部分で成長しました。
去年の5月末にあったADCC予選のために、ギをやめて3か月くらいグラップリングだけやってましたが、そのあたりからグラップリング特有の考えや技術が身について成長を実感しました。
・ここ1年くらいでめちゃくちゃ体がでかくなってると思うのですが、何キロくらい増えましたか?
3キロくらい増えました。
・筋トレしてますか?
筋トレは一切してません。いつかはしようと思いますが、技術面にどうしても目が行ってしまい、まだその気になれません。
・世羅選手との動画解説でも話に出ていたように、みんな気になってると思いますが、ステロイドはやってますか?
ナチュラルです。副作用が怖いのでやってません。ADCC本戦など、やらないと無理な気がしないでもありませんが、今後もやるつもりはありません。
・力が強くなったという実感はありますか?
強くなったと思います。特に出稽古などで練習させていただいているMMAグラップリングでのスクランブルやレスリングの影響で腕が太くなったり、力がついたりしました。
・もし実感がある場合は力が強くなったことで使う技が変わったりしましたか?
力を強引に使うことはないのは、今までと同じなので、使う技も変わりません。
・最近はノーギでの試合のイメージが強いのですが、これからはノーギの専門家になるのですか?それはなぜですか?
グラップリングメインでやるつもりです。ただ、ギも楽しいので、ギを全部切り捨てるというわけでもありません。
・それはなぜですか?
柔術よりルールによる制限が少なくて、より自由な戦い方ができて楽しいのと、柔術よりカッコいいと思うからです。
・今後の何か目標はありますか?
グラップリングでさらに強くなって、みんなを驚かせること。世界で活躍すること。
・目標達成のためには、テクニックを仕入れる必要があるかと思いますが、どんなルートで仕入れていますか?
試合動画、ユーチューブ、テクニック教則、技研、スパーリングを通して自分に足りないものを見つけること。ぼくがグラップリングで好きな選手の試合はたくさん見てます。あとうまくなりたいテクニックを多用する選手の試合やテクニック動画を勉強したりもします。足関節ならクレイグジョーンズ、ギャリートーナン、エディカミングスとか。バタフライガードならゴードンライアン、マルセロガルシア、トップならJTトレス、ハーフならルーカスレイチとか。あと、レスリングに関してはユーチューブに海外の一流講師による一流テクニックが上がってます。僕の好きな先生はJohnSmithさんです。グラップリングの亀ポジションのテクニックはほとんどフォークスタイルレスリングから持ってきてます。
・短期間で上達するコツはありますか?
まずよくありがちなミスとして、技の手順や些細すぎるディテールに執着することは成長を遅くします。ある程度理解したら限定スパーやスパーでやって感覚を身に着ける方が手っ取り早いです。道を知っているのと、実際に歩くのには大きな違いがあります。あとは、テクニックを動きや手順としてとらえ、反復を重ねても、かかるようにはならないどころか、そのテクニックを相手に強制しようとしてしまうのでお勧めできません。テクニックの手順はどうでもいいことが多いです。テクニックを単なる手順で覚えるのではなく動機でとらえること。なぜ、そうするかを理解する方が応用が利きます。
・得意になりたいテクニック動画を探すときはどのように探しますか?
日本語だけでなく、英語でも検索かけることをおすすめします。
・地方柔術に関して何か印象はありますか?
草原とか公園が広そうなので、いいなと思います。
・地方の柔術家は東京などの人口が多い場所でテクニックの共有することができませんが、何かアドバイスはありますか?
地方でも東京でも、練習パートナーと公園などのスペースがあれば、成長にはあまり関係ないとおもいます。東京でもテクニック共有するのは練習仲間だけです。あとは全部インターネットや技研です。
・ありがとうございました!!非常に充実した回答でした。九州で柔術をやってる人は、岩本選手のように独学で強くなる人が多いので共感できるところが多いです!!岩本選手のセミナーなかなか九州ではやらないと思うので、気になってる人は是非、最先端パスボディロックパスセミナーをうけよう!
さらに今回セミナーに際して期間限定でボディロックパスのテクニック動画が一つ届いています。是非ご覧下さい。
●セミナータイトル
岩本健汰 最先端のパスガード 『ボディロック・パス』
●内容
ボディロックパス
質疑応答
時間が余れば足関節技
●対象
ブラジリアン柔術家、グラップラー、総合格闘家
●日時
2020円8月23日13時半集合 14時開始
●場所
ボヘミアンズ柔術
〒802-0074 福岡県北九州市小倉北区白銀1丁目3-10 2F
●参加資格
誰でも
●料金
7000円(当日手渡し)
●定員
26名(ボヘミアンズ会員で大多数が埋まる可能性がありますので、外部の方はお急ぎください)
●注意事項
所属の道場の承諾が必要な場合は、必ず承諾をとってください。
セミナー中の動画撮影は可能ですが、YouTube、各種SNSへの公開は禁止とさせていただきます。
●申込方法
こちらからお申し込みください。メッセージ欄に所属道場をお書きください。